Excelの関数機能は非常に便利ですが、数が多すぎて「どの関数を使えばいいのか」を判断すること自体がかなり難しいです。
しかしネットで調べようにも、結局どの関数を使えばいいのかすら分からないわけですから、検索のしようもなくなり困った経験がある方も多いのではないでしょうか?(「Excel関数 合否判定」「Excel関数 合計 平均」のように、なんとなく関連しそうなキーワードを検索バーに羅列して、それらしい記事を一つずつ見て回るという感じだと思います)
となると、やはりExcelに詳しい人に直接パソコン画面を見せながら口頭で説明するのが一番手っ取り早く確実な方法になりますが、それはあくまでそういう人がいたらの話。Excelマスターの友達がすぐそばに、しかも聞いたら何時でも教えてくれる・・・そんなことありえませんよね。
いやいやあり得るんです。
Excelどころか、パソコン、プログラミング、いや、すべてを網羅した最強の味方が!しかもあなたのすぐそばに、しかも24時間365日即対応可能!
そうです。それがAIです。(しかもExcelレベルなら十分無料で対応可能。)
今の時代は、AIに“やりたいこと”をそのまま伝えるだけで、最適な関数を提案してくれる ようになっています。
本記事では、実際にAIを活用してエクセルの関数(SUMIF関数編)を調べる方法を紹介します。
✅この記事を読む前に
以下の記事では、AIを使った調べ方と従来の検索方法のメリットデメリットを検証しています。お時間がございましたらこちらの記事も是非読んでみてください。
✅マクロ・VBAに興味がある方へ
エクセルの関数はある程度使えこなせるけど、マクロと聞くと躊躇してしまう・・・。そんな方に向けた記事になります。
今回の目標

左の売上一覧表から、集計したい項目ごとの売上合計を算出したい。
今回はそもそもの総数が少ないので、手動で計算しても時間はかからなさそうだが、実務ではこの数が膨大になると手計算では、ほぼ不可能に。ぜひとも便利な関数があれば使いたいところ。
※前提としてそもそもどの関数を使うかわからない状態として調べていきます(関数名では調べない)
直感的に質問してみる(ステップ1)
まずは難しいことを考えず、「やりたいこと」をそのままAI(Gemini)に聞いてみます。
(以下は実際のやり取りであり、内容をほぼそのままコピペしています)

Excel関数を教えて!
担当者や品目、金額、日付が入った売上表がある。
ここから担当者ごとや、品目ごと、日付ごとに分けた売上合計を出したい。

お任せください!売上表から担当者別、品目別、日付別の合計金額を抽出するために、ExcelのSUMIFS関数を使うのが最適です。
SUMIFS関数は、複数の条件に一致する数値の合計を計算できる関数です。
解決策の概要
SUMIFS関数を使用して、指定した条件(担当者名、品目名、日付など)に一致する**「金額」**列の合計を求めます。
この関数を使うには、まず売上データがどの列に入っているかを知る必要があります。例えば、以下のような表を想定して進めます。
列 | A | B | C | D |
1行目 | 日付 | 担当者 | 品目 | 金額 |
2行目 | 2024/07/01 | 佐藤 | りんご | 500 |
3行目 | 2024/07/01 | 田中 | バナナ | 300 |
4行目 | 2024/07/02 | 佐藤 | りんご | 600 |
... | ... | ... | ... | ... |
上記の例では、合計したい「金額」の列はD列、条件となる「担当者」はB列、「品目」はC列、「日付」はA列に入っています。
SUMIFS関数の使い方
SUMIFS関数は、以下の構造で使います。
Excel
=SUMIFS(合計対象範囲, 条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2], ...)
各引数の説明は以下の通りです。
- 合計対象範囲: 合計を求めたいセル(今回の例ではD列)。
- 条件範囲1: 1つ目の条件が含まれているセル(例:担当者のB列)。
- 条件1: 合計の対象とする具体的な値(例:集計したい担当者名)。
- 条件範囲2, 条件2, ...: 必要に応じて、2つ目以降の条件を設定します。
1. 担当者別の売上合計を出す
担当者名(例: F2セルに「佐藤」と入力)を基準に合計を出す場合、G2セルに以下のように入力します。
Excel
=SUMIFS(D:D, B:B, F2)
F列 | G列 |
担当者名 | 売上合計 |
佐藤 | 1100 |
- D:D: 金額(合計対象範囲)
- B:B: 担当者名(条件範囲1)
- F2: 検索したい担当者名(条件1)
2. 品目別の売上合計を出す
品目名(例: F2セルに「りんご」と入力)を基準に合計を出す場合、G2セルに以下のように入力します。
Excel
=SUMIFS(D:D, C:C, F2)
- D:D: 金額(合計対象範囲)
- C:C: 品目(条件範囲1)
- F2: 検索したい品目名(条件1)
3. 日付別の売上合計を出す
日付(例: F2セルに「2024/07/01」と入力)を基準に合計を出す場合、G2セルに以下のように入力します。
Excel
=SUMIFS(D:D, A:A, F2)
- D:D: 金額(合計対象範囲)
- A:A: 日付(条件範囲1)
- F2: 検索したい日付(条件1)
4. 複数条件(例: 担当者と品目の組み合わせ)
複数の条件を同時に満たす合計を出したい場合は、条件範囲と条件のセットを続けて追加します。
例: 担当者が「佐藤」で、品目が「りんご」の合計(担当者名がF2、品目名がG2にある場合)
Excel
=SUMIFS(D:D, B:B, F2, C:C, G2)
- B:B, F2: 担当者に関する条件
- C:C, G2: 品目に関する条件
お使いの売上表で、**「金額」「担当者」「品目」「日付」**がそれぞれ何列目にあるかを教えていただければ、具体的な列名に合わせた関数を作成しますよ!
結果の検証
いきなりほしい答え、「SUMIF」関数というワードが出てきました。
しかも説明のためとはいえ、具体例まで出してくれています。=SUMIFS(合計対象範囲, 条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2], ...)
ひとまずこの式を基に、今回の条件のうちの一つ「田中の売り上げ」に合わせて、式を作ってみます。
・合計対象範囲=C:C
・条件範囲1=A:A
・条件1=A2(もしくは”田中”)=SUMIFS(C:C, A:A, A2)
※条件は1つのみなのでこれでOK

【検算】田中の売上=1,2000+6,000+7,000=2,5000
⇒どうやら式は正しそう。
同様にその他の式もつくれば・・・と思いましたが、最後にGeminiはこう言ってくれています。

・・・
お使いの売上表で、**「金額」「担当者」「品目」「日付」**がそれぞれ何列目にあるかを教えていただければ、具体的な列名に合わせた関数を作成しますよ!
具体的に指示してみる(ステップ2)
最初の僕の指示はざっくりとしたものだったので、AIは説明のために具体例を出して説明してくれました。でも端から具体的なセルや行列番号まで、ちゃんと教えてあげれば、私の状況に合わせた式を作ってくれます。前回のやりとりの続きとして進めてみます。
(以下は実際のやり取りであり、内容をほぼそのままコピペしています)

A列に担当者、B列に商品、C列に売上金額、D列に日付が入っている
そして以下の5つの条件の式を作ってほしい
・(担当者のうち)田中の売上合計
・(商品のうち)りんごの売上合計
・(各売上のうち)10000円以上の売上合計
・(日付のうち)2025年10月の売上合計
・(担当者のうち)田中の(商品のうち)りんごの売上合計

詳細な列の配置(A列:担当者、B列:商品、C列:売上金額、D列:日付)を教えていただきありがとうございます!
この構成に基づき、SUMIFS関数を使って指定された5つの条件すべてに対応するExcelの数式を作成します。
SUMIFS関数(複数条件の合計)
**合計対象範囲はC列(売上金額)**になります。
1. 田中の売上合計
A列(担当者)が「田中」である売上(C列)を合計します。
Excel
=SUMIFS(C:C, A:A, "田中")
- C:C: 合計対象範囲(売上金額)
- A:A: 条件範囲(担当者)
- "田中": 条件
2. りんごの売上合計
B列(商品)が「りんご」である売上(C列)を合計します。
Excel
=SUMIFS(C:C, B:B, "りんご")
- C:C: 合計対象範囲(売上金額)
- B:B: 条件範囲(商品)
- "りんご": 条件
3. 10,000円以上の売上合計
C列(売上金額)が「」(10,000円以上)である売上(C列)を合計します。
Excel
=SUMIFS(C:C, C:C, ">=10000")
- C:C: 合計対象範囲(売上金額)
- C:C: 条件範囲(売上金額)
- ">=10000": 条件(不等号を使う場合、条件は二重引用符(" ")で囲む必要があります)
4. 2025年10月の売上合計
D列(日付)が「2025年10月1日以降」かつ「2025年10月31日以前」という2つの条件を使って合計します。
Excel
=SUMIFS(C:C, D:D, ">=2025/10/1", D:D, "<=2025/10/31")
- D:D, ">=2025/10/1": 1つ目の条件(10月1日以降)
- D:D, "<=2025/10/31": 2つ目の条件(10月31日以前)
【ヒント】
もし集計結果を出すセルに「2025/10/1」という日付が入っている場合(例:F2セル)、その日付と組み合わせて使うこともできます。
Excel
=SUMIFS(C:C, D:D, ">=" & F2, D:D, "<=" & EOMONTH(F2, 0))
&
を使って日付セルと演算子を結合します。EOMONTH(F2, 0)
はF2セルに入っている日付の月の末日を返してくれる関数です。
5. 田中のりんごの売上合計
A列(担当者)が「田中」かつ B列(商品)が「りんご」である売上(C列)を合計します。
Excel
=SUMIFS(C:C, A:A, "田中", B:B, "りんご")
- A:A, "田中": 担当者に関する条件
- B:B, "りんご": 商品に関する条件
これらの数式を使用する際は、売上表の列がA, B, C, Dであることを再度ご確認ください。ご希望の集計ができるはずです!
結果の検証
かなり具体的に指示を出したので、AIの回答もより私の要望にマッチした回答をくれました。今回はひとまず結果の検証ということで、回答してくれた式をそのまま使用して、結果の検証だけしていきます。(詳しい式の解説は各々で読んでいただければと思います)
○ 田中の売上合計
AIの式:=SUMIFS(C:C, A:A, "田中")
= 25,000
検算:12,000+6,000+7,000 = 25,000

○ りんごの売上合計
AIの式:=SUMIFS(C:C, B:B, "りんご")
= 47,000
検算:12,000 + 15,000 + 20,000 = 47,000

○ 10,000円以上の売上合計
AIの式:=SUMIFS(C:C, C:C, ">=10000")
= 47,000
検算:12,000 + 15,000 + 20,000 = 47,000
(りんごと条件が一緒でした。例題としてよくなかったですね・・・)

○ 2025年10月の売上合計
AIの式:=SUMIFS(C:C, D:D, ">=2025/10/1", D:D, "<=2025/10/31")
= 70,000
検算:12,000 +8,000 + 15,000 + 6,000 + 20,000 + 9,000 = 70,000

○ 2025年10月の売上合計
AIの式:=SUMIFS(C:C, A:A, "田中", B:B, "りんご")
= 12,000
検算: 12,000= 12,000

まとめ
今回はAIを使ってExcelの関数を調べるための手順を一例を通じて紹介しました。AIを利用する上で、最も重要なのは「プロンプト」と呼ばれるもので、これはAIに実行させるための指示書のようなものです。AIはネット上に存在するあらゆる情報を記憶、蓄積しており、人間の指示(プロンプト)をもとに回答を導き出します。どれだけ優秀な部下を持とうと、あなたの指示が間違っていれば、間違ったことを完璧に返してきます。
つまり、AIを使いこなすカギは、指示の仕方にあります。
とはいえ、別に身構える必要はありません。
画像生成などの比較的高度なAIでなければ、今回示した通り、直感的な人間会話レベルの文を日本語でそのまま打ち込めばOKです。
あまり難しく考えず、あなたに超優秀なプログラマーの部下でもできたと思って、気軽に利用してみてはいかかがでしょうか。
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